2010年生誕三百年を迎え、全集もスタートしたフリーデマン・バッハのオーケストラ作品で特にお薦めしたいのがこの協奏曲へ短調です。モーツァルトの短調作品の激烈さとロマン派の叙情性を兼ね備え、いわゆる「疾風怒涛」様式の作品を凌駕するスケールと多様性を持った名曲です。冒頭のヴァイオリンのユニゾンによる四分音符の劇的な跳躍モティーフが二度目には和声とパート間の応答を伴って柔らかく登場するとき、限られた素材から多彩な表情を引き出す手腕には見事という他はないでしょう。ＮＭＬリンクの演奏をぜひお聴き下さい。
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