多くの「カルメン」によるパラフレーズと同様に、第2幕冒頭の激しい三拍子の舞曲「ロマの歌」から始まります。サラサーテらの先行作品が技巧的であってもほぼ原曲を踏襲していたのに対して、ホロヴィッツのヴァージョンは半音階から現代的な和声が盛り込まれており、名人の余技とは一線を画した作品と言えるでしょう。多くの異版、カデンツァが巻末に掲載されており、これらは些末な相違点ではなく、ホロヴィッツのあふれ出るアイディア、インプロヴィゼーションの記録と言えるでしょう。
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