1820年にミラノのリコルディ社より刊行されたピアノ・ソナタの歴史的編曲。ヴァイオリンは単独、あるいはピアノを重複して主旋律を奏でる、あるいは内声を受け持つ、など変化に富んでおり、大胆な試みではあるものの、違和感なく楽しめる部分も多いでしょう。おそらくは技術的な問題からでしょうが、原本ではカットされている第2楽章は、校訂者がこの編曲の様式に則って編曲し、全曲演奏できるように補ってあります。変わり種とはいえ、後期ベートーヴェンの中でも際立った名曲をヴァイオリンで演奏できる意義は大きいでしょう。
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