シューベルトが1820年代に器楽曲において成し遂げる目覚しい円熟の端緒となった作品です。それまでの四重奏曲にみられた教科書的な対位法は廃棄され、叙情性と劇的な集中を基調とする、よりイマジネーションに富んだ作風が見られます。演奏者(=家族)の技量に合わせた妥協をやめた(とりわけ父親が受け持っていたチェロ)ことも充実した作品が生まれる要因となっているでしょう。
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