作曲者の序文によると、この作品は初演者、サイモン・ラトルの肖像であるとともに、'最後の' 委嘱作の完成を見ないまま他界したポール・ザッハーへの追悼曲でもある、ということです。標題をもつ各楽章は順に、バーミンガム市交響楽団を思い浮かべて書かれた「嵐」、伝統的な交響曲との中間に位置する「讃歌」、荒々しく、グロテスクな「舞曲」、そして現代からは隔絶した「夢」。その大音響からわずか3小節、だが緩やかに消え入るように閉じる終結部は、最後の交響曲作家という呼称はヘンツェにこそふさわしいのでは、という印象をもたらします。
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