「トリスタン」の冒頭を聴いただけで咽び泣いていた、という語り草になっているシャブリエのバイロイト詣で(1880)以後、最初に書かれた大規模な声楽作品がこの、『旧約聖書』の「雅歌」によるメゾソプラノ独唱、女声合唱、管弦楽のための「シュラムの女」です。とはいえ、この作品ではワーグナーの影響は部分的なものにとどまっています。むしろフランス的な繊細さがあふれ、ドビュッシーの「選ばれた乙女」を予感させる作品といえるでしょう。
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